在宅医療の推進と社会的意義

在宅医療の推進は、患者さんやその家族にとって負担が少なく、療養生活が充実したものとなるよう支援します。近年では「病院で死ぬのはイヤ」、自宅に帰って看取って欲しい、などの希望を口にすること、そして社会のそういった機運が後押ししているのもあり、在宅医療を受ける患者は増加の一途をたどっています。

また入院費の高騰などもあり、医療資源の適切な配分や医療費の節約にもつながり、社会全体にとってもプラスの効果をもたらします。

在宅医療は、上記のようなこともあり患者さんが自宅で快適に療養生活を送るために重要な役割を果たしています。したがって在宅医療の推進を国を挙げて実施しているところです。具体的には、生活の最終段階における医療・ケア体制整備事業や医療・ケアチームの育成研修などが挙げられるでしょう。。

患者さんのための幸せな療養生活

長年暮らしていた自宅で終末期を迎えたいと考えるのは、今に始まったことではないですね。戦後核家族化が進み、大家族で家庭を支えるといった家族体系が変わり、最期は病院で過ごすことが避けられなくなっていましたね。多くの方が違和感を感じていたにもかかわらず、病院で最期を過ごすことが当たり前となっていましたが、前段の理由などにもより自宅で最期を過ごそうとする方が増えてきています。

患者さんが自宅で療養生活を送ることは、安心感や家族との絆を感じることができるため、精神的な面でも大きな支えとなります。また、病院や施設に比べて自分のペースで生活することができるため、ストレスを減らすことができるでしょう。

自宅で受けられるサービス

自宅でのケアは、訪問診療や訪問看護、訪問リハビリテーションなど、医療保険の他、介護保険サービスなど様々なサービスを受けることができます。これにより、患者さんは定期的に専門家の診療やケアを受けることができ、快適な療養生活を送ることができます。

在宅医療を取り巻く環境、今後も継続してこの体制を発展させていくには、重要な要素として、在宅医療ネットワークと連携体制が挙げられます。在宅医療ネットワークは、医師、看護師、リハビリテーション士、ケアマネージャーなどの専門家が連携し、患者さんに質の高い医療・ケアを提供するための体制です。

病院であれば上記スタッフが一つの医療機関にいてそれぞれ役割を担っていますが、在宅医療の場合には訪問診療を実施する医療機関、訪問看護を提供する訪問看護ステーション、お薬を配薬する在宅薬局、ヘルパーの派遣などをおこなう訪問介護事業所、そして地域包括ケアの中心となるケアマネジャーなど、それぞれの事業所（異なった会社同士）の連携となります。従って他事業所同士の顔の見える連携がとても重要であり課題でもありますね。

また在宅医療の現状として、需要が増加している一方で、看護師や理学療法士、介護福祉士などの医療、介護スタッフの不足なども懸念されているところであります。

これらの課題に対処するためには、地域全体での連携強化やIT技術の活用などが求められています。